動物看護師について⑰~「獣医師の指示」について~
弁護士 小島梓
従前よりご説明してきました通り,愛玩動物看護師による診療の補助行為は前提として,すべて「獣医師の指示」のもとに行われる必要があります。この点「動物看護師について④~診療の補助~」の中でも簡単にご説明しましたが,この点も議論が進んでおりますので,ご紹介します。
主に,この「獣医師の指示」について,具体的にどういうものが求められるかということについて議論が進められております。
現状における方向性として,
■原則:その都度,現場にいる獣医師の個別具体的な指示が必要
■例外:あらかじめ獣医師による診療計画が立てられている場合,心肺蘇生処置が必要な場合などは,個別具体的な指示までは不要。
ということが考えられているようです。
上記の例外に該当する場合,すなわち現場に獣医師がいなくても心肺蘇生措置を行って良い要件,あらかじめ獣医師の診療計画が策定されているといえるためにはどういったことまで決められている必要があるのかなどにかかわる具体的要件は今後,整理していく予定となっております。
また,獣医師が過去に診察したことのある愛玩動物であって,電話等による遠隔の獣医師からの指示で診療の補助行為を行うことも可能かという点についても議論されている最中で,いずれも要件が固まり次第対外的に発表される予定となっています。
上記の通り,例外的に獣医師の個別具体的な指示がない場合でも診療の補助行為ができる場合については,いずれも獣医師(病院)側でマニュアルや資料が作成されていることが前提となる可能性が高い状況ですので,詳細が発表され次第準備を始めていただく必要があろうかと思います。