獣医師に対する行政処分③~獣医師法8条2項の要件(2)~
弁護士 小島梓
今回は、獣医師法8条2項3号に規定されている要件についてご説明します。同号には、獣医師法5条第1項第1号から第4号までの1つに該当するときと定められています。
そして、獣医師法第5条1項第1号から第4号の規定内容は以下のとおりです。
「次の各号のいずれかに該当する者には、第3条の免許を与えないことがある。
一 心身の障害により獣医師の業務を適正に行うことができない者として農林水産省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、獣医師道に対する重大な背反行為若しくは獣医事に関する不正の行為があつた者又は著しく徳性を欠くことが明らかな者」
各号ずつ、簡単に規定内容を見ていきたいと思います。
<心身の障害により不適格と判断された者(獣医師法第5条1項第1号)>
どのような場合に「獣医師の業務を適正に行うことができない」と判断されるかについては、獣医師法施行規則1条の2に具体的に定められています。
1号:視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は精神の機能の障害により獣医師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
2号:上肢の機能の障害により獣医師の業務を適正に行うに当たって必要な技能を十分に発揮することができない者
もっとも、当該障害がある場合であっても、当該者が現に利用している障害を補う手段又は当該者が現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況があれば、免許を与えられる場合があり(獣医師補施行規則1条の3)、これは、同様に行政処分を行うか否かの際にも考慮されるものと考えられます。
次回も引き続き、獣医師法第5条1項の要件をご説明していきます。