コラム

獣医療広告 獣医療法

獣医療広告について⑥~獣医療法17条1項の規定内容~

弁護士 小島梓

 今回からは、獣医療法第17条1項の規定内容について詳しく見ていきたいと思います。「獣医療広告について①~獣医療広告規制状況概観~」でもご紹介しましたが、獣医療法第17条1項では、
「何人も、獣医師(獣医師以外の往診診療者等を含む。第2号を除き、以下この条において同じ。)又は診療施設の業務に関しては、次に掲げる事項を除き、その技能、療法又は経歴に関する事項を広告してはならない。
一 獣医師又は診療施設の専門科名
二 獣医師の学位又は称号」
と規定されています。

(1)規制内容
 当該条項にて広告が禁止されているのは、獣医師又は診療施設の「技能、療法又は経歴に関する事項」です。この技能又は療法とは、獣医師が行う診療に関する獣医学的判断や技術に関する能力又は治療方法を指します。

(2)広告が認められている事項
 広告が認められている事項については、比較的明確な定め方をされていますが、念のため詳細を確認しおきたいと思います。

ア 法第17条第1項第1号関係
 同号により、技能又は療法に関する事項のうち「獣医師又は診療施設の専門科名」は広告が認められています。「専門科名」とは、獣医師が診療を担当している診療科名を指します。具体的には大学の講座名にある等一般に広く認められているもの、診療対象動物名を示すものがあると考えられます。具体例は以下のとおりです。

(ア)専門分野を示す科名
 内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、アレルギー科、寄生虫科、外科、整形外科、泌尿器科、繁殖科(産科、臨床繁殖科)、放射線科(臨床放射線科)、腫瘍科、画像診断科、皮膚科、耳鼻科、眼科、歯科等

(イ)対象動物を示す科名
 大動物専門科、牛専門科、豚専門科、馬専門科、鶏専門科、犬・猫専門科、小鳥専門科、エキゾチックアニマル専門科、うさぎ専門科、ハムスター専門科、フェレット専門科、は虫類専門科等

イ 法第17条第1項第2号関係
 経歴に関する事項のうち「獣医師の学位又は称号」は広告が認められています。
 「学位」とは大学、独立行政法人大学評価・学位授与機構又は旧学位令により授与される獣医学士、獣医学修士、農学博士、獣医学博士、博士(獣医学)等を指します。
 「称号」とは獣医師法附則第19条に規定する「新制獣医師」等を指します。

 使用しておられる先生もいらっしゃると思いますが、「専門医」「認定医」等については、どうなるのでしょうか?
 専門性資格に関する制度は獣医療では確立していないため、これらは学位又は称号に含まれないとされており、すなわち、これらを広告することは認められないということになりますので、注意が必要です。

 次回からは、獣医療法施行規則24条の規定内容について説明していきます。