獣医療広告について⑩~獣医療法施行規則24条の規定内容(4)~
弁護士 小島梓
前回、獣医療法施行規則24条2項の規定内容、広告の方法に関する規制内容全体を概観しました。
しかし、同項各号の規定は抽象的な表現も多く、何が禁止されているのかわかりにくいです。そこで、今回以降、同項各号の規程について、具体的に見ていきたいと思います。
今回は、同項1号についてです。
同号では、他の診療施設と比較して優良である旨の広告、いわゆる「比較広告」が禁止されています。
「提供される獣医療の内容が他の獣医師又は診療施設と比較して優良である旨」の広告とは、提供される獣医療の内容について、特定又は不特定の他の診療施設等と自ら(複数の場合を含む。)の診療施設等を比較の対象とし、自らが他よりも優良である旨を広告することを意味するものとされています。
規則24条1項にて広告可能とされた事項のうち、医療機器を所有していること(同項2号)、避妊去勢手術を行うこと(同項4号)、予防注射を行うこと(同項5号)、フィラリア症の予防を行うこと(同項6号)、及び飼育動物の健康診断を行うこと(同項7号)に関しては、比較広告を行うことはできないこととされています。
では、具体的に問題になりやすい広告文言として、ガイドラインにも記載されている文言をご紹介します。
(例1)どこの動物病院よりも安全に手術を行います。
→ 他の動物病院より優良であるかのように認識されるおそれがあり、比較広告に該当する可能性があります。このように、特定のどこかの病院と比較するという場合だけでなく、不特定多数の病院と比較する場合も比較広告に該当しうることに注意が必要です。
(例2)○○さん(著名人)の猫ちゃんも当院の健康診断を受けています。
→ 比較広告の形式にはなっていませんので一見該当するようには見えません。しかし、著名人の名前を出すことで、他の診療施設より優良であるかのように認識されるおそれがあるため、比較広告に該当しうるとされています。
繰り返しになりますが、このように、獣医療広告に関しては、その違法性等について、形式のみならず、実質も踏まえて判断されることになるため注意が必要です。
次回は、誇大広告の禁止について具体的に見ていきたいと思います。