金銭の要求はなく、質問が繰り返された事例
事案の概要
飼い犬の下痢症状が続いており、元気がないと訴えて、来院し、診察を行いました。獣医師が各種検査を行った結果、犬はすでに内臓の病気に罹患しており、重篤な状態であったため、いつ亡くなってもおかしくない状況でした。獣医師は、その旨をオーナーにも説明の上、対処療法はじめ、可能な治療を継続しました。しかし、最後は、オーナーの自宅にて亡くなってしまいました。
その後、オーナーから獣医師に対して亡くなった犬の治療内容や処方された薬剤等に関する質問が来るようになりました。獣医師は可能な回答をしましたが、質問が繰り返されるばかりで、終わりませんでした。獣医師自身で半年以上対応しましたが、質問の内容も徐々に異なる事実を前提としたものや趣旨不明のものが増えてきてしまい、獣医師による対応は困難となり、当事務所に対応を依頼されるにいたりました。
結論
当事務所介入後は、獣医師への直接の連絡はなくなり、最終的には、当事務所への連絡もなくなり、沈静化しました。
当事務所への連絡の中でも、オーナーからは金銭の請求はなされず、様々な質問が繰り返されました。当事務所では、獣医師の説明義務の範囲に入りうる、治療内容等に関する質問には回答するなどして、一定の対応を行った上で、これ以上の回答はする必要がないと考えている旨明確に伝え、途中から回答することをやめました。結果、当方への連絡もなくなり、沈静化しました。
昨今、このように、オーナーから金銭請求はなされないが、質問が繰り返されるというケースも増えております。金銭請求がなされないために、獣医師としては事件性はない、自分で誠実に回答すれば終わると考え、どんな質問にも答えようとして対応を続けてしまいます。しかし、際限なく質問に答えようとすると獣医師が疲弊してしまい、診療業務に影響が出かねません。 治療内容に関してオーナーに対して丁寧に説明することは大事なのですが、適切な範囲、限度があるのも事実です。このような案件では、獣医師としてすべき説明を行った後は、一定のところで回答を打ち切るという見極めをすることも重要になります。しかし、このタイミングを獣医師が見極めるのは容易ではありません。法的知識や裁判例等に鑑みて検討すべきこともありますので、金銭請求がなされていないケースであっても早めにご相談ください。
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