獣医療広告について⑬~獣医療法施行規則24条の規定内容(7)~
弁護士 小島梓
獣医療法第17条第1項の規定により、技能、療法又は経歴に関する事項は原則として広告禁止とされていますが、このうち、規則24条1項により定められているものは例外的に広告可能とされていることは、従前ご説明してきた通りです(獣医療法第17条第2項前段)。そこで、今回から規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。
(1)省令第24条第1項第1号関係
「獣医師法第6条の獣医師名簿への登録年月日をもって同法第3条の規定による免許を受けていること及び省令第1条第1項第4号の開設の年月日をもって診療施設を開設していること」は広告可能とされています。
すなわち、
〇獣医師免許が与えられた年月日
及び
〇診療施設開設者が診療施設を開設した年月日(いわゆる病院の開業日)
を指しており、これらは広告可能ということになります。
(2)省令第24条第1項第2号関係
「医薬品医療機器等法第二条第四項に規定する医療機器を所有していること。」は広告可能とされています。
医療機器は、それを使用して行われる技能又は療法を実施することができることを連想させる(例:エックス線撮影装置は、技能又は療法であるレントゲン検査を連想させる。)ため、従来はこれを所有していることも広告してはいけないということで、広告制限の対象とされていましたが、改正により「所有していること」に限って広告が認められることになったという経緯があります。
まず、本号に規定されている「医療機器」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令の別表第1の「医療機器」を指します。そのため、「医療機器を所有していること」について広告を行う場合にあっては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」と言います)の制約も受けることになる点に注意が必要です。
具体的には、医薬品医療機器等法第66条の規定(誇大広告等)及び同法第68条の規定(承認前の医療機器の広告の禁止)に基づき、当該医療機器が特定可能となる事項等(販売名、型式番号等)について広告することは認められないと考えられます。
では、医療機器を所有していることについて、どのような方法であれば広告可能なのでしょうか。
当該医療機器が特定されないような一般的な名称を用い、それらの導入台数、導入年等について広告することは可能と考えられます。
<一般的名称の例>
エックス線撮影装置、X線CT装置(CT)、磁気共鳴画像診断装置(MRI)等
抽象的なご説明としては、以上のようになりますが、非常に微妙な違いで、広告可、不可が別れますので、以下のとおり、ガイドラインにも示されている具体例を掲載しておきます。
<広告が可能な例>
■○○動物病院腫瘍科においてMRIを導入しました。
→技能、療法を直接広告しているわけではなく、あくまでMRIという機器を所有していることの広告ですので可能です。
■動物用として承認されているX線CT装置の写真の掲載
→こちらもあくまで機器を所有していることの広告ですので、原則可能です。ただし、当該CTが特定可能なる販売名や型式番号が明示されているものや、それが分かる部分を撮影されてしまいますと、広告不可ですので、ご注意ください。
<広告が不可能な例>
■MRIによる腫瘍診断を実施しています。
→上記の広告可能な事例とよく似ていますが、この文言ですと、MRIを所有しているということに留まらず、「腫瘍診断を実施」できるという趣旨の記載になっていますので、技能、療法に該当するので、広告不可能となります。
次回も引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。