動物看護師について⑳~既卒者・在学者ルート~
弁護士 小島梓
今回は、特例措置に基づく既卒者・在学者ルートについてご紹介します。
まず、あらためて、当該ルートを利用しうる要件を整理します。当該ルートにより愛玩動物看護師の免許を得るためには大きく以下3つの要件を満たす必要があります。
(1)大学・養成所の既卒者・在学者であること
(2)令和9年4月末日までに講習会を修了していること
(3)国家試験を受験し、合格すること
以下、順番に簡単にご説明していきます。
(1)大学・養成所の既卒者・在学者であること
以下が既卒者・在学者の簡単な定義になります。
①動物看護に係る大学に法律施行日前に入学して,
ア 施行日前に卒業した者(既卒者)
イ 施行日後に卒業した者(在学者)
②動物看護に係る養成所に法律施行日前に入学して,
ウ 施行日前に卒業した者(既卒者)
エ 施行日後に卒業した者(在学者)
当該大学や養成所で習得するカリキュラムについて指定されており(「愛玩動物看護師法の施行に向けた検討状況について」8頁をご参照ください)、当該カリキュラムが習得されていない場合は、要件を満たさないことになるのですが、「科目名称に縛られず、履修内容を個別評価し特例の適用が判断される」ということですので、特例措置の対象となるか否かは、実際に皆様が受けた講義の内容を基に判断されることになります。
そうなりますと、個人個人で適用の可否と判断することは困難ですので、今後、大学や養成所ごとに既卒者や在学者が特例措置の対象となるか否か、何らかの形で公表されるのを待つか、卒業した学校に問い合わせていただくのが早いかと思います。
(2)講習会を受講していること
令和9年4月末日までに、所定の講習会を受講して、終了する必要があります。まず、この特例措置は、施行日令和4年5月1日から5年間の暫定的措置ですので、期間制限がついています。ご注意ください。
講習会についてですが、「令和3年3月30日 報告書」の41頁に現在決まっている情報に関する概要が掲載されています。さらに「愛玩動物看護師法の施行に向けた検討状況について」の9頁にも表により講習会で受講する内容のイメージが掲載されています。それぞれ一読いただければと思います。
講習会については、30時間程度を目安に行われることになっており、オンラインでの受講も可能となるようです。また、認定動物看護師の資格を有している方については一部受講免除とされる予定になっています。
他方で、行われるのが平日昼間なのか、休日も可能なのか、平日夜間でも受けられるものなのかといった詳細までは明確になっていません。
(3)国家試験の受験・合格
最終的に、国家試験を受験し、合格する必要があります。
現在想定されているスケジュールを見ますと、令和5年2月末から3月にかけて第1回目の国家試験が予定されているようです。
上記スケジュールを参考にしますと、遅くとも令和4年度中には、講習会のスケジュールが発表され、受講する必要が出てくる方たちがいらっしゃるはずです。動物看護師の方、個々人はもちろんのこと、各病院でも受験に必要なサポートを検討いただけるとよろしいかと思います。
次回は、もう一つの特例措置、現任者ルートについて詳細を見ていきたいと思います。