懲戒処分に際し、本人が協力しない場合
弁護士 長島功
懲戒処分を行うにあたっては、本人に弁明の機会を与えるという意味でも、動物病院としては、事実確認を行う必要があります。
ところが、本人がその調査に協力しないといった場合があり得ます。
こういった場合、本人からの聴取を経ることなく動物病院は、処分をすることはできるのでしょうか。
仮にこのようなケースで弁明の手続を経ていないとして、処分が無効になってしまうことは調査に非協力的な者を不当に利することになってしまいますし、懲戒事由を裏付ける証拠があるにもかかわらず、処分できないということは、病院内の秩序を維持するという懲戒制度の趣旨にも反します。
そのため、他の調査から懲戒事由があることの確認ができる場合には、弁解の機会を付与したにもかかわらず、本人がそれを放棄したものと考えて、懲戒処分を行うことは可能といえます。
ただ、弁明の機会を与えたことはトラブル防止のためにも、跡に残る形で残しておくようにしましょう。