パワハラとは
弁護士 小島梓
「動物病院のハラスメント問題」のコラムにてご紹介したように、動物病院の院長先生よりスタッフ同士のハラスメントの問題についてご相談を受けることが増えております。
ハラスメントにはいくつかの種類があるのですが、まずは、問題になることも多く、近年法律の整備も進んでいるパワハラについて、ご説明していきます。
まず、パワハラの問題に関しては、法律の定めがあり、対策に関する指針も出されています。基本的には当該法律や指針に則した対応が望ましいです。そのため、指針、パンフレットなどについては、お時間のある際お目通しいただけるとよろしいかと思います。以下に主なものをご紹介しておきます。
■法律
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」と言います)9章
■指針
事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(いわゆる「パワハラ防止指針」)
「パワハラ」とは一体何かということから簡単にご説明を始めていきたいと思います。
「動物病院のハラスメント問題」のコラムの中で、労働施策総合推進法において定められているパワハラの定義をご紹介しました。ただ、当該定義は非常に抽象的で、相談を受けた内容がこの定義に当てはまるのか否か判断することは容易ではありません。
そこで、定義を分解し、より具体的にどういった言動が当てはまるのかということを見ていきたいと思います。
①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③その雇用する労働者の就業環境が害されること
当該要件を満たす言動がパワハラと考えられています。
次回以降、当該要件を一つずつ見ていきたいと思います。