未収金が発生した場合の書面の作成

　支払の督促をした結果、近くオーナー様より一括で支払がなされる場合には、わざわざ合意書の作成までする必要性は低いかと思います。
　ただ、オーナー様との話し合いの末、長期の分割払いになるような場合等では、支払が途中で滞る可能性があるため、できるだけ念書等の書面（以下、単に「書面」といいます）を作成した方が望ましいです。
　書面では、支払金額や、期限、支払方法の定めを書くのはもちろんですが、それ以外でも、支払いをできるだけ確保するための条項も検討すべきかと思いますので、いくつか具体的にご紹介します。

１　期限の利益喪失
　これは、分割での支払いが途中で滞った場合、期限の利益を喪失し、残額は一括で支払わなければならないという条項です。
　様々な定め方がありますが、例えば「分割金の支払いを〇回怠ったとき」等に、当然に期限の利益を失い、残金を一括で支払わなければならないとすることが考えられます。

２　遅延損害金の定め
　支払を遅滞した場合に遅延損害金が発生することを定めるものです。
　１の条項により、期限の利益が喪失した場合にも、残金について期限の利益を喪失した日の翌日から、年〇％の割合による遅延損害金を支払わなければならない、と定めることもあります。

３　残額免除の合意
　これは、例えばですが本来、１００万円の請求ができるところ、３０万円を免除し、７０万円を分割で弁済してもらう合意をする場合、ただ３０万円を免除するのではなく、債務額はあくまで１００万円とした上で、７０万円を合意どおり滞りなく支払えば、３０万円は免除するという合意です。
　これにより、債務者としては、一部免除を得るために、７０万円を約束通り支払おうという動機付けになります。

　これら以外にも、支払確保のための方策はいくつかあります。
　ただ、書面の文言は後の紛争につながらないように、また実効性のある条項にするためにも、できるだけ専門家に依頼をして作成した方が安心ですので、作成に際しては是非一度、ご相談ください。