コラム

未収金回収

任意に診療費を支払ってもらえない場合

弁護士 長島功

 未収金が発生し、動物病院から督促状を送ったものの、オーナー様から返答がなく、任意の支払いを受けられない場合には、法的手続を検討することになります。
 ただ、任意に支払を受けられないからと言って、常に法的手続をとるのがベストという訳ではありません。そもそも、法的手続をとる目的は、法的手続の種類にもよりますが、主として強制執行、つまり債務者の財産から強制的にお金を回収できるようにするためです。
 そのため、オーナー様にそもそもお金がなさそうであったり、財産を調査するのが困難な事情があるようであれば、法的手続をとったところで、ただ費用と時間を費やすだけの結果となってしまいます。
 したがって、任意の支払いを受けられないからといって、闇雲に法的手続をとるのは得策ではなく、基本的には、将来の回収の見込みがどの程度あるかを検討した上で、行った方が良いです。
 債務者の財産の調査は、法的手続を経て権利が確定することで、初めて行うことができるものもあるため、法的手続を経なければ、債務者に財産があるか否か判断できないケースも多く、悩ましいところではあるのですが、少なくとも法的手続に進むにあたって、上記の視点はもっておくべきです。