解決事例

交渉等により解決した事例

丁寧かつ適切な返答により解決した事例

事案の概要

 動物病院での処置後にペットが亡くなり、ペットのオーナーから書面により、動物病院に対して損害賠償請求がなされました。ペットのオーナーより送られてきた書面の内容には獣医師の記憶にない事実や趣旨不明の記載が多数あり、対応に困った獣医師より当事務所にご相談がありました。

結論

 当事務所と、処置を担当した獣医師とで打ち合わせをして、事実確認を行った上で、オーナーより送られてきた書面内容に対して、オーナーより請求されている金額の支払いには応じられないこと、質問の趣旨が分かる範囲での回答・説明、事実の認識が異なっている箇所はその旨の記載をするなどして返答をしました。その結果、オーナーからはそれ以上の要求はなくなり、沈静化で終了となりました。

 本件のように、オーナーから書面により、処置内容の説明を求められたり、損害賠償請求をされたりするケースは非常に増えてきました。言った言わないということにはなりにくいとうい良い面もあるのですが、他方で、書類を受け取った獣医師側にしてみると、書面に身に覚えのないことや、趣旨が分からない質問が多数記載されていると、口頭でのやりとりと違い、その場で趣旨を聞くということもできないため、どうしてよいかわからないという事態になることも多いです。また、中にはこのような書面を受け取って「なぜこのような嘘を書いてくるのか?」と怒りを感じられ、その怒りをそのまま書面に記載されてしまう先生もいらっしゃいます。

 しかし、多くの場合、オーナーも嘘を書いているつもりはありません。オーナーは、獣医師ほどの専門的知識を有しているわけではありませんので、間違った思い込みや勘違いも発生しやすく、その結果、獣医師側からしてみると、虚偽の事実が書かれているように見えてしまうという構造です。

 本件のように双方で認識の違いが大きいときに、重要な点は、獣医師側から返事をする際に、安易にオーナーが虚偽の事実を記載していることを前提としてそれを責めるような内容の返事をしたり、オーナーの言いたいことを想像して返事をしたりしないことです。このような返事をしてしまいますと、お互いに怒りを増幅させ、話し合いは混乱するばかりで、まとまりません。

 書面で損害賠償請求がなされると驚くと思うのですが、慌てて返事をせず、落ち着いて内容を検討し、趣旨が分からない点は分からないと正直に伝え、わかる範囲で丁寧に回答し、オーナーからの返事で趣旨が判明すればそれに合わせて再度回答をするということを心がけていただければと思います。ただ、これを獣医師の判断で行うのは大変難しいことですので返事をされる前に一度専門家に相談するこをとお勧めします。