スタッフからストーカー被害の申告を受けた場合
弁護士 長島功
院内における恋愛関係のもつれなどから、他のスタッフからストーカー行為を受けているという申告を被害者から受けることがあります。動物病院で、スタッフが物理的につきまとう、待ち伏せするといったようなケースまではあまりありませんが、LINEで勤務時間外にしつこく連絡をしてくる、拒否をしても連絡が止まないといったようなケースは見受けられ、やり取りの内容如何では、セクハラともいえるような場合もあります。
これにより、被害者とされるスタッフが疲弊し、業務に影響が出てしまっていることもあり、動物病院としてもそのような申告があった場合には、何らかの対応をしなければなりません。
そこで、こういったケースでの一般的な対応についてご説明していこうと思います。
1 事実調査
まず当然ですが、大前提として事実確認が必要で、被害者の言い分だけで加害者とされるスタッフを処分したりすることはできません。
場合によっては、LINEでのやり取りの提出を被害者より受けるなど、問題のストーカー行為がどういったものなのかを客観的に確認をするようにしましょう。
また、調査を行うことで、2次被害が出るおそれもあることから、調査を進めることについては被害者に丁寧に説明をして了承を得るべきですし、調査の間、当事者同士の接触をさせないようにシフトを調整する、加害者とされる者に接触をしないよう通知するなどの配慮も必要です。
2 ストーカー被害の事実が確認できる場合
まずは加害者との面談の時間をとり、加害者の反省の態度などから、加害者への指導で解決しそうであれば、明確な処分までは行わずに様子をみるのも1つです。
しかしながら、指導にもかかわらず、繰り返し行為が行われたり、その内容が警察からの警告を受けているなど、態様が悪質な場合には、出勤停止や減給といった重めの処分や、程度如何では懲戒解雇まで許容されるケースもあるかと思います。
こうした問題が起きた場合には、被害が継続して起きていると思われますので、速やかな対応が求められるとともに、被害者とされる方が、新たな被害を被らないよう配慮する必要もあり、処分内容の決定以上に、そのプロセスも非常に重要となります。
院内でこういった問題が起きてしまったような場合には、速やかにご相談されることをお勧めします。