咬傷事故の被害者以外の第三者に対して、飼い主の賠償責任を認めた裁判例
弁護士 幡野真弥
飼い犬が人を咬んだとき、飼い主が賠償の損害賠償責任を負うのは、通常は咬まれた被害者に対してだけです。
ただし、被害者以外の第三者に対しても、損害賠償責任を負うことがあります。
東京高裁平成25年10月10日判決は、第三者に対する飼い主の損害賠償責任を認めた事例です。
事案としては、賃貸物件の貸主である原告が、被告夫婦の飼育していた犬の咬傷事故が原因となって、賃貸物件の賃借人が退去し、得られたはずの賃料収入が得られなくなったとして、損害賠償を求めたものです。
賃料が月額175万円という高級賃貸物件であったこと等もあり、結論として、裁判所は、1725万円もの高額の賠償責任を認めました。
動物を飼うということは、動物自身に対する責任を持つことはもちろんですが、時として高額の賠償責任を負うこともありますし、また、過失傷害罪という犯罪になることもあります。飼い主の方々には自覚と責任を持って動物を飼育する必要があるといえるでしょう。