コラム

獣医師法 獣医師に対する行政処分

獣医師に対する行政処分①~獣医師法の規定~

弁護士 小島梓

 獣医師法8条2項に、以下のような定めがあることをご存じでしょうか。

「獣医師が次の各号の一に該当するときは、農林水産大臣は、獣医事審議会の意見を聴いて、その免許を取り消し、又は期間を定めて、その業務の停止を命ずることができる。
一 第19条第1項の規定に違反して診療を拒んだとき。
二 第22条の規定による届出をしなかったとき。
三 前2号の場合のほか、第5条第1項第1号から第4号までの1に該当するとき。
四 獣医師としての品位を損ずるような行為をしたとき。」

 当該規定の存在を知らない、存在は知っており、何か悪いことをしたら獣医事審議会にかかるという漠然としたイメージは持っているが、具体的に何をした場合に審議会にかかり、どういった流れで何が行われるのか、どんな結果を招くものなのかということまでは知らないという先生も多いのではないかと思います。

 この規定は、記載のとおり、一定の要件を満たすと、獣医師の免許を取り消したり、一定期間の業務停止等が命じられる、いわゆる獣医師に対する行政処分について定めた規定です。

 平成27年には、当該規定に基づく行政処分を受ける獣医師が増加傾向にあるということで、農林水産省の獣医事審議会免許部会より「獣医師に対する行政処分に関する基本的な考え方」という通知も出されています。

 獣医師の仕事ができなくなるという非常に厳しい効果が発生しうるものですので、そのようなことにならないようにするため、一度は内容を確認していただきたいと思います。

 そこで、本コラムでは各要件の具体的内容、行政処分がなされるまでにどういった手続きが行われるのかなどについて、具体的にご説明していきます。

 次回は、各要件についてご説明します。