獣医師に対する行政処分④~獣医師法8条2項の要件(3)~
弁護士 小島梓
前回に引き続き、獣医師法8条2項3号に規定されている要件である、獣医師法5条第1項第1号から第4号までの1つに該当するときの内容についてご説明していきます。
<麻薬、大麻又はあへんの中毒者(2号)>
「中毒者」であるか否かについては、基本的に医師の診断書によって判断されることになります。
同号で規定されている薬物の具体的中身は以下のとおりです。
●「麻薬」とはコカの葉、あへん又はコカの葉から抽出される一切のアルカロイド類(モルヒネ、コカイン、コデイン等)及び上記のものと同様の毒薬と乱用の恐れのある科学的合成品(ヘロイン等)を指す。
●「大麻」とは、大麻草及びその製品を指す。
●「あへん」とは、けしの液汁が凝固したもの及びこれに加工を施したものを指す。
中毒症状により、精神異常等が出てしまっている場合などが、適切に業務を行うことは不可能な場合の典型になります。したがって、当然獣医師の免許取り消しとなると考えられます。
しかし、中毒症状によっては、治療や軽減が可能な場合もあったり、症状が非常に軽微であり獣医師の業務に差し支えない場合なども想定できるため、中毒者であっても、客観的な判断により、免許の取り消しまではしないということありうるとされています。
次回は、現在、行政処分を受ける原因として非常に増えている「罰金以上の刑に処せられた者」という要件について見ていきたいと思います。