獣医療広告について①~獣医療広告規制状況概観~
弁護士 小島梓
昨今、獣医療においても、広告に関する関心も高まってきています。しかし、獣医療に関する広告については、現在も法律上規制かかっています。違反をした場合の罰則も定められており、ひいては行政処分の対象ともなりえる厳しいものです。
そこで、安全かつ適正に広告展開をしていただくために、一度、獣医療広告に関する規制状況をご確認いただきたく、今回から、獣医療広告の規制、注意事項に関してご説明していきます。
まずは、現在の規制状況を概観していきましょう。
法律上は、主に獣医療法
①第17条第1項の規定
②獣医療法第17条第2項の規定に基づき、その特例を定めている獣医療法施行規則第24条の規定
による規制がなされています。
獣医療法第17条第1項の規制内容は以下のとおりです。
「何人も、獣医師(獣医師以外の往診診療者等を含む。第2号を除き、以下この条において同じ。)又は診療施設の業務に関しては、次に掲げる事項を除き、その技能、療法又は経歴に関する事項を広告してはならない。
一 獣医師又は診療施設の専門科名
二 獣医師の学位又は称号」
そして、同上2項では以下のとおり定められています。
「前項の規定にかかわらず、獣医師又は診療施設の業務に関する技能、療法又は経歴に関する事項のうち、広告しても差し支えないものとして農林水産省令で定めるものは、広告することができる。この場合において、農林水産省令で定めるところにより、その広告の方法その他の事項について必要な制限をすることができる。」
この規定に基づき、農林水産省令である獣医療法施行規則24条において、獣医師又は診療施設の業務に関する技能、療法又は経歴に関する事項のうち、例外的に広告しても差し支えないものなどが規定されています。これは後に詳細を確認します。
これらを合わせ考えますと、現状獣医療広告に関しては、「原則として、その技能、療法又は経歴に関する事項に関しては、広告が禁止されているが、広告制限の例外として、専門科名及び学位又は称号、並びに獣医療法施行規則で定めるものについて、広告をすることが認められている」という状況です。
獣医療広告が規制されているのはなぜでしょうか?次回は、その趣旨などを簡単に見ていきたいと思います。