獣医療広告について⑪~獣医療法施行規則24条の規定内容(5)~
弁護士 小島梓
今回は、獣医療法施行規則24条2項2号の規定内容について具体的に見ていきたいと思います。
同号では、いわゆる「誇大広告」が禁止されています。
同号にて禁止されている「提供される獣医療の内容に関して誇大な広告」とは、提供する獣医療の内容について、著しく事実に相違する、又は必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張して表現していたり、飼育者等を誤認させる広告を意味するものとされています。
さらに、客観的に事実であると認めるに足りる根拠のない内容についての広告は、上記の内、「飼育者等を誤認させる広告」に該当すると考えられています。
規則24条1項にて広告可能とされた事項のうち、医療機器を所有していること(同項2号)、避妊去勢手術を行うこと(同項4号)、予防注射を行うこと(同項5号)、フィラリア症の予防を行うこと(同項6号)、及び飼育動物の健康診断を行うこと(同項7号)に関しては、誇大広告を行うことはできないとされています。
では、具体的に問題になりやすい広告文言として、ガイドラインにも記載されている文言をご紹介します。
(例1)効果抜群のワクチンを接種します。
→ 何を根拠に効果抜群であるか不明すし、一定の効果があることを見込めるとしても事実を不当に誇張しているということになります。そのため、誇大広告に該当すると考えられます。
(例2)ワンちゃんの去勢手術も往診します。
→ 通常、往診では犬の去勢手術はできません。そのため、実際に行えないことを事実に反して記載しているか、往診で診察や術前検査を行い、手術は病院で行うという前提であればペットオーナーを誤認される可能性がります。そのため、このような広告の仕方は誇大広告に該当すると考えられます。
また往診のみによって診療の業務を行っている場合、通常いかなる手術も行いえないため、往診で「手術」ができるかのような広告することは原則、誇大広告に該当すると考えられています。
(例3)当院で行う避妊手術は比較的安全な手術です。
→ペットオーナーを安心させたいという理由から、安易に使用してしまいがちな表現ですが、突き詰めて考えますと、何と比較して安全であるか不明です。このように、客観的な事実と証明できない事項に該当する場合も誇大広告に該当すると考えられています。
次回は提供される獣医療に要する費用に関する広告についてご説明します。