コラム

獣医療広告 獣医療法

獣医療広告について⑭~獣医療法施行規則24条の規定内容(8)~

弁護士 小島梓

 前回に引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。今回は、規則24条1項3号及び4号関係です。

(3)省令第24条第1項第3号関係
「家畜改良増殖法第3条の3第2項第4号に規定する家畜体内受精卵の採取を行うこと」は広告可能とされています。「家畜体内受精卵の採取を行うこと」とは、雌牛から体内受精卵移植の用に供する受精卵を採取することを意味しています。ただし、家畜改良増殖法上、家畜体内受精卵移植に係る家畜については、牛以外の家畜は定義されていませんので、同号に定められている「家畜」も牛限定ということになります。

以上を踏まえますと、
<広告可能な例>
■供卵牛に多排卵処理後、人工授精を実施し受精卵を採取します。
→施術内容に踏み込んだ内容になっていますが、同号に定められている事項そのものですので、これも広告が可能と考えられています。
<広告不可能な例>
■豚に人工授精を実施し、受精卵を採取します。
→上記とほぼ同様の文章ですが、対象が牛以外の豚であることから、広告することはできませんのでご注意ください。
というこということになります。

(4)第24条第1項第4号関係
「犬又は猫の生殖を不能にする手術を行うこと」は、広告可能とされています。いわゆる、犬又は猫の避妊去勢手術を行うことを指しています。逆に、犬又は猫以外の動物の避妊去勢手術を行うことを広告することはできません。具体的にどのような表現まで許されるのでしょうか。

<広告可能な例>
■当院では犬及び猫の卵巣子宮の全部摘出による避妊手術を行っています。
→避妊手術では、現在各病院によって採用している術式が異なる状況です。大きくは、卵巣のみ摘出する場合と卵巣子宮の全部を摘出する場合に分かれるところかと思います。避妊去勢手術に関しては、このように、病院において採用している手術の術式等について広告することは可能と考えられています。

<広告不可能な例>
■インプラントの皮下への埋め込みによる避妊をお勧めしています。
→インプラントは、一時的な発情抑制を目的に行われるものであり、生殖を「不能」にする手術ではありませんので、広告はできません。
■去勢手術 犬10,000円、猫15,000円で受付中。
→提供される獣医療の費用を併記しているため、広告不可能となります(「獣医療広告について⑫~獣医療法施行規則24条の規定内容(6)~」も併せてご覧ください)。去勢手術や避妊手術については、定額で行っている病院も多いため、併記しやすいところですが、ご注意ください。

次回も引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。