ペットホテルでの事故
弁護士 長島功
動物病院にペットホテルも併設されているところは多いかと思いますが、ペットホテルでの預かり中に事故が起きてしまうケースもあります。
この場合の法的責任について、解説をしていこうと思います。
まず、ペットホテルにおける契約というのは、法律上は有償での寄託契約というものに該当します。
ペットホテル側は、この契約により、ペットを保管の上、保管期間終了の後に、ペットを返還するという義務を負うのですが、保管中は善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負うとされています(ちなみに、対価を取らない場合は、また少し異なるのですが、ペットホテルは通常対価を取るかと思いますので、この場合については割愛いたします)。
そして、ペットホテル側が責任を負わなければならないかは、この善管注意義務を怠っていたかどうかが判断の1つになるのですが、善管注意義務というのは、他人の物を預かるにあたって、他人に損害を与えないように、一般的に期待される程度の義務を言うと言われています。ですので、そういった程度の注意を行っていたにもかかわらず、残念な結果が生じてしまったという場合には、責任を免れることはできますが、そうでない場合には責任が発生し得ます。
したがって、いざ紛争になった際に善管注意義務を果たしていたことを示せるように、客観的な管理体制を整備することはもちろんですが、その管理状況を丁寧に記録に残すということも大切です。
なお、よくペットホテルにおける同意書で、何があっても一切責任を負わないというような文言が書かれていることがありますが、これは消費者契約法という法律により無効となるため、法的な責任を回避するという目的との関係では有効なものではありません。