コラム

未収金回収

未収金の督促状②

弁護士 長島功

 今回は、督促状を送る際の郵送方法やそのタイミングについて解説したいと思います。

 まず、郵送方法ですが、まずは普通郵便での送付があります。
 これは簡単ですし、何より費用が安いです。そのため、未収の金額が少額である場合等、督促にあまり費用をかけられないケースでは、検討すべき郵送方法です。動物病院での未収金は、比較的少額であることが多いですし、獣医師の先生方もこの方法はよく行っておられるかと思います。
 内容証明郵便に比べて、督促の効果が薄いのではないかと思われるかもしれませんが、普通郵便であったとしても、前回のコラムも踏まえて、ポイントを押さえ、分かりやすい文面で督促をすれば両者に大きな違いはないかと思います。
 ですので、結局のところ一番大切なのは、文面かと思います。

 ただ、配達記録を付けた内容証明郵便による必要がある場合もあります。
 内容証明郵便は、いつ、どういった内容の書面が、誰から誰に送付されたかを証明することができるものです。これは普通郵便ではできません。
 時効が成立してしまう間際に、「催告」をすることで、6か月間、時効の完成を猶予することができるのですが(民法150条1項)、この「催告」をするには、後からそれを証明する必要があるため、配達記録付きの内容証明郵便による必要がある典型的な場面となります。

 そして、この送付方法と同じくらい督促で大切なものとして、そのタイミングがあります。
 動物病院内で未収の管理がなされていないと、督促されずに何カ月も経過しているケースもあります。あまりに時間が経過しますと、オーナーも任意の支払い意思が徐々に無くなりますので、回収できない可能性がどんどん高まります。また、支払う側からすると、債権の管理をしっかりして、定期的に督促をしてくるところ、督促にうるさいところから支払おうと考えるのが自然です。その意味でも、期限までに支払がないのであれば、できるだけ速やかに督促を行うのが望ましいです。そして、それを行うには、債権の管理、つまり診療報酬の残金は幾らか、それをいつ督促したのか、その際、期限はどうしたのか、その入金はどうなっているのか等をしっかり行うことが重要です。